2019/06/03
コールセンターの生産性管理(AHT)とは?生産性向上のためのポイントをご紹介

こんにちは!楽テルコラム担当です。
みなさんは、AHTという言葉をご存知でしょうか?顧客満足度を高めていくことが成功につながるコールセンターにおいては、より高いレベルの顧客応対を継続していく必要があります。様々なKPIが存在しますが、より高いレベルを目指すならば応対品質と生産性を高めなければなりません。応対品質と生産性を図る指標の一つAHTについて解説し、管理するポイントなどをご紹介します。
コールセンターの業務効率と対応品質の両方を上げるには
電話対応業務における大きな課題である「オペレーターの対応時間」や「オペレーターの対応品質のバラつき」。
これらの課題解決に有効なのが、クラウド型CRM・CTIシステムです。
着信時ポップアップやIVR(自動音声応答)、自動文字起こしなどの機能を活用することで、コールセンター業務の質と両方を、大きく改善できます。
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目次
AHTとは
AHTは「Average Handling Time」の略で、通話時間と保留時間、後処理の時間の平均処理時間を表しています。この値によってコールセンター全体とオペレーターの生産性を確認することが可能です。AHTの数値が低いと少人数でも業務を回すことが可能なので、お客様は電話が繋がりやすく、通話時間も短くなり、企業としては運営コストの削減につながります。しかし実際には、AHTの数値にばかり注目して業務を行うと、応対品質の低下やオペレーターの負担の増大など様々な問題が発生してしまいます。
AHTの管理方法
運営コストを削減するために、AHTを短縮するべきだと思うかもしれません。しかし、顧客によって課題・問題は異なるため、解決にかかる時間が一律とは限りません。そのため、AHTを正しく管理する必要があります。AHTの管理方法のポイントとしては、解決にかかる時間設定をし、基準内に適切に処理することを心掛けることや、マニュアルの充実によりオペレーターの回答出来る範囲を広げ、一件当たりの回答時間を減らすといったことが挙げられます。
関連記事はこちらコールセンターの応対品質向上!改善ポイントと効率的な管理方法をご紹介
間違ったAHTの管理方法
より効率よく業務を回し運用コストを削減するためにAHTの短縮を無理やりしてしまうと、冷たい対応になってしまう可能性があります。その結果、顧客を萎縮させてしまい、応対品質が低下したり、オペレーター一人あたりの対応件数が増えることで事務処理が雑になったりするという問題が発生します。すると、顧客満足度を高めていくことが本来の目的であるにもかかわらず、顧客満足度を自ら下げてしまう結果にもなり得ます。そのため、AHTを見たときにあまりにも短すぎる場合には、応対品質が悪くなっていないかと考えることも大切です。また、AHTの数値の差から、運用の中で稼働の課題についても考えることもできます。具体的には、新人とベテランのAHTの差から研修が十分に効果を発揮しているのか、などを確認することが可能です。
無理な「通話時間」の短縮を行うと
通話時間が短いということは、顧客と直接対話する時間が短いということです。オペレーターが丁寧な表現を省いたり、顧客の想いを汲み取らずに通話を終えたりなどして無理に短縮している場合、事務的で冷たい印象を顧客に与えているかもしれません。
通話時間の短さをオペレーターの評価基準にすると、通話を早く切り上げているオペレーターの方が高評価を得ることになります。難しい顧客要望を解決に導いても、通話時間が長くなってしまうと評価につながらないという矛盾が起こります。
また、クレームの多いコールセンターの場合は通話時間が長くなりがちなので、通話時間を短縮することが改善になるとは限りません。
無理な「保留時間」の短縮を行うと
保留時間は、オペレーターが自分の担当分野以外の要望を顧客から求められた際に、該当する担当者などに引き継ぐために顧客をお待たせする時間です。
無理な保留時間の短縮を指示されたオペレーターは、自分のキャパシティ以上の課題を自力で解決しようとする可能性があります。結果的にミスや苦情を生み、そのフォローに時間がかかり、問題の長期化を引き起こす心配もあります。
一人で処理しようと頑張りすぎた結果、心理的負担が増え離職につながるというリスクもあります。
無理な「後処理時間」の短縮を行うと
後処理時間の無理な短縮は、オペレーター業務を疎かにしかねません。例えば顧客と話しながら後処理作業をして通話に集中できなかったり、顧客からの問い合わせ内容の記録を簡略化したりなどが考えられます。精度の低い後処理をすると、重要な顧客情報の社内共有がうまくいかなくなります。
タイピングや文章作成のスキルにも個人差があります。そうした作業が不得手なオペレーターが、後処理時間を簡単に短縮できるとは言えないでしょう。時間短縮を強く指示されるとストレスを生んでしまいます。
AHTをATTとACWに分けて考える
AHTの長短は、顧客により異なるため顧客応対の効率化が重要です。より高いレベルの顧客応対を行うためにはAHTという大きな枠組みで考えるのではなく、細かく分けて考えることが大切です。例えば、AHTをATT(Average Talk Time:平均通話時間)とACW(After Call Work:後処理時間)に分けてみましょう。コールの時間、後処理の時間、と意識をして業務を行うことができるため、結果AHTの短縮につながります。
ここでは、それぞれどのようにすれば適切な短縮になるのかをご紹介します。
ATT(平均通話時間)
ATTは顧客によって差が大きく、状況に合わせてばらつきがでる部分です。単純に短い対応が良いというわけではなく、ATTが長くとも丁寧な対応をした方が最終的にAHTを短縮できたケースもあります。短い対応がクレームを呼び、結果としてATHが長くなるというケースも存在するからです。そのため、顧客に最適な対応ができるように日頃のコール内容を分析することをおすすめします。結果として応対品質があがり、顧客の満足度を下げずにATTを短く最適化していくことが可能です。
ATTの改善方法
大幅なATT改善策のひとつに、システム導入による顧客応対プロセスの簡略化が挙げられます。例えばIVR(自動応答システム)なら、自動音声で顧客の要件を導き出して担当オペレーターに素早くつなぐことができます。オペレーターが問い合わせ内容のジャンルを直接聞き出し、他の担当者につなぐための通話時間を短縮できるでしょう。
ATTの改善はオペレーターにスピードを強要するだけでは限界があり、応対品質の低下やオペレーターのストレス増を引き起こしてしまいます。IVRのようなシステムで組織的な改善を目指すのもひとつの手です。
ACW(後処理時間)
顧客個人に影響を受けるATTと異なり、ACWはオペレーターが主体的に意識することで短くできます。ATTの長いオペレーターよりもACWの長いオペレーターを改善した方が、よりATHは短くなります。顧客と向き合うことだけが顧客応対ではなく、事務的な作業のスピードアップもATTの削減には効果的な手段であるため、ACWを短くすることは必要不可欠です。そのためには、オペレーターが後処理の作業をしやすい画面構成になっているのかをしっかり把握していくことが大切です。オペレーターの要望や、業務の変化に応じて入力フォームを改善していけるような仕組みづくりが重要と言えるでしょう。
ACWの改善方法
上記に述べた「仕組みづくり」以外にも、ACWの改善方法はあります。
後処理の作業には、スキルや意識といった個人差が大きく表れるものです。「タイピングや会話を文章化するスキルが低い場合」や「後処理の遅さに自覚がない」といったことが個人差を生んでいると考えられます。
事務処理スキルのボトムアップを図るため、ACWが長いオペレーターを中心に研修を行うと良いでしょう。ACWが短いオペレーターからコツを学ぶことも重要です。
加えてオペレーター一人ひとりのACWの情報を共有して作業時間の差を表面化し、個人の意識に変化をもたらすことも改善策として有効です。
関連記事はこちらコールセンター業務を効率化するための3つの指標『AHT・ATT・ACW』とは
AHTを使った生産性向上の5つのポイント
AHTの最適化は、個人の努力だけで解決できるものではありません。ここでは、AHTを管理し適正に改善していくためのポイントを5つ挙げます。
ポイント1. 現場環境の課題を把握する
まず、AHTを管理するには、現場を把握し環境要因からくる課題を見出す必要があります。例えば、「そもそもマニュアルが多すぎて業務が煩雑になってしまっている」といったように過去に決めたルールが足かせになっている場合も考えられます。また、クレーム対応に困る新人オペレーターを、ベテランオペレーターが助ける余裕がないという現場もあるかもしれません。マニュアルやシステムなどのハード面、現場の雰囲気などのソフト面の両面から課題を把握することがポイントです。
ポイント2. 処理時間をモニタリング管理する
より良い電話対応のためには、通話中、保留中、後処理時間といったオペレーターごとの業務時間をリアルタイムでモニタリングすることをおすすめします。人材配置の少ないコールセンターではSVもオペレーター役として電話対応に時間を割かなければならない状況かもしれません。しかし、管理者としてオペレーターごとの業務時間をモニターで把握していると、トラブルや改善ポイントにいち早く気づくことができたり応対スピードのコントロールを指示できたりするので、結果的にコールセンター全体の生産性向上につながります。
ポイント3. オペレーター能力の個人差を補う
オペレーターとしてのキャリア、タイピングや文章作成のスキル、話し方の癖、オペレーター本人のやる気の高さや改善思考の有無といった様々な要因が、能力の個人差につながっていると考えられます。
AHTの結果だけを基準にしてただやみくもに改善を促すのではなく、一人ひとりの知識やスキルを分析し、不足している部分にフォーカスをしてトレーニングを促しましょう。それにより能力の個人差を縮めて、コールセンター全体の品質向上を目指すことができます。
ポイント4. 適切な休憩制度を整備する
オペレーターは顔の見えない顧客に対応することとなるため、高い集中力が求められます。人が集中力を維持できるのは50〜90分ほどと言われているので、適切な休憩を挟んだスケジュールを組むと、一人ひとりの生産性が向上します。
休憩の目安としては数時間に1回10分程度が望ましく、短時間で脳と体のリフレッシュができます。さらには、昼食後の仮眠も効果的です。午後の早い時刻に30分以内の昼寝をすると業務効率の向上が見込めることが、厚生労働省の資料で報告されています。
ポイント5. コールセンターシステムを導入する
コールセンターシステムの導入によってAHT管理が容易になり、生産性向上が期待できます。顧客からの応対を記録する機能や自動返答機能などにより、オペレーターの業務負担を軽減するだけでなく課題や改善のヒントを見出すことができます。結果的に応対スピードがあがり、AHT改善につながります。
関連記事はこちら【比較】コールセンターのCRMシステムはオンプレミス型とクラウド型どちらがおすすめ?
生産性向上のために行うべきこと
企業全体で描いた設計図に則って具体的なアクションに移ることが、効率的な生産性向上のためのポイントです。ここでは、生産性向上のために実際に行うべきことをご紹介します。
業務上の課題を洗い出す
まず業務に関わる管理者や新人、中堅、ベテランのオペレーターなど、様々な立場を含めたメンバーでミーティングの機会をつくり、実際に効率を妨げている大小の課題を洗い出していきます。
企業の目標数値を見直す
多くの企業は、つねに高い目標を定めて成長を目指します。目標が高すぎて達成できない場合、投入したリソースの浪費となってしまい、結果的に生産性を下げてしまうことになります。無理な目標設定をしてしまっていないか、数値を見直すことも一つの手です。
目標達成のためのプランニングを行う
実際に、目標達成に至るまでの具体的なプランを組み立てます。人員や設備、資金をどの程度どの時期に投入するかをできるだけ細かく設計することで、リソースの費用対効果を高めます。
生産性向上のためにおすすめの時期
企業全体で生産性向上を図るには、業務改革が必要となります。ここでは、業務改革に取り組みやすいタイミングをいくつかご紹介します。
研修のとき
新入社員の新人研修や中間管理職のマネジメント研修など、社員が学びの意識を持っているタイミングで行うといいでしょう。新人は仕事に慣れる前に生産性の高いワークフローを身に付けることになりますし、中間管理職は部下へのコーチングの役割を担うので組織全体に影響を与えます。結果的に、全社的な生産性の向上が期待できます。
人材不足のとき
人材不足に陥っている時期は、現状の生産性の状況や課題を把握しやすいタイミングとも言えます。人員や設備などのリソースを補充する場合と、人材の数に合わせて事業を縮小する場合とを比較することで、生産性を向上させて利益を得ていく最善の方法を見出します。
コスト削減が必要なとき
訳あってどうしてもコスト削減が必要なときこそ、生産性向上を図る絶好のタイミングです。人材や設備などのコストを減らせば成果も減少してしまいます。業務そのもの一つひとつを精査してムダ・ムラを省き、限られたリソースを効率的に活用することが生産性向上に直結します。
まとめ
適切な顧客対応が求められるコールセンターにとって、AHTをいかに適切にできるかがより高いレベルの顧客応対を行えるかに影響します。課題点を細かく分類することで、何がこれまでの行動の無駄であったのか、どんなスキルが足りなかったのかを明らかにしてより良い顧客対応を目指してください。
課題点を細かく分類した結果、自社の課題がACWにあると分かった場合は、楽テルの導入をおすすめします。楽テルは、企業の電話対応を効率化できるクラウド型のCRMシステムです。オペレーターの要望に応じて入力フォームを簡単にカスタマイズすることができるので、後処理作業の効率アップに大きく貢献することができます。
自社の課題がどこにあるのか分からない場合、楽テルとCTIシステムを連携させることで、課題特定に役立つデータを収集することができます。上記でご説明したようなATTやATH、ACWといった数値を取得し、そのデータを元に楽テル上で分析し改善を繰り返すことで、より良い商品やサービスの提供にも役立てることができます。より高いレベルでの顧客応対を達成できないかと考えているならば、一度楽テルにお問い合わせください。
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楽テルコラム編集部
リスティング広告やFacebook広告の運用、プロダクトサイトのSEOなど、広くWEB施策に携わっています。前職では、世界トップクラスのシェアを誇るCRMシステムの導入支援を通して、様々な企業の業務改善に尽力していました。
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好きな料理は「スパイスカレー」です。